鬼姫伝説 Ⅰ
弐
千代の叫び
考えた結果。
千代は次の日再び森を訪れた。
きっと鬼羅たちは怒るだろう。
そんなことはわかっている。
でも、千代の足はどんどんと森の奥へと向かっていた。
そして、迷いそうになりながらもたどり着いた鬼羅が住んでいたあの小屋。
「いるかな・・・」
そんな独り言を呟きながら、その小屋に近づいていく。
「また来たのか」
そんなとげのある声が聞こえる。
それは、千代が小屋の扉に手をかけた瞬間。
その手を止め振り返ると、千代を睨みつけている鬼羅の姿。
「鬼羅・・・、あのね」
「帰れ。もう姿を現すなと言ったはずだ」
「でも・・・」
鬼羅はどこまでも冷たくそう言い捨てる。