鬼姫伝説 Ⅰ
籠の中の鳥
二人は語らい合った。
互いの事、そしてこの世界の事。
話は尽きず、日が暮れるのも構わず。
そしていつしか新しい朝を迎えようとしていた。
「帰らなくてよいのか」
その時になってようやく気遣う声をかければ。
「もっと、鬼羅と一緒にいたい」
千代の素直な思いが溢れだす。
二人の視線が絡み合う。
鬼羅の手が千代の頬に伸びる。
「変な気分だ・・・」
「変?」
「お前のことなんて、ただの憎い人間としか思っていなかったのに・・・」
頬に添えていた手をすっと首の後ろに回す。
そのまま力を込め千代の身体を引き寄せた。
「鬼羅・・・」