鬼姫伝説 Ⅰ
「離してっ!どうしてこんなことを!」
必死に抵抗する千代だが、男数人の力には敵わずその場から引っ張り出されようとする。
「千代!!!」
鬼羅の声が響く。
千代は戦っている鬼羅に駆け寄ろうと足を踏ん張るが、引きずるようにして武士に連れられてしまう。
「鬼羅!!ああっ!やめて!」
無勢に多勢。
圧されている鬼羅を、千代は泣き叫びながら見ていた。
千代はそのまま城に連れ戻され、部屋に入れられた。
「出して!お願い!ここから出して!」
すぐに飛び出そうとする千代だが、外に見張り役がいて扉を開けてはくれなかった。
ズルズルと扉に縋り付きながらずり落ち声をあげて泣く。
ああ、どうか無事でいてと。
どうか、どうか生きて・・・。
その願いを、ただただ祈るしかなかった。