鬼姫伝説 Ⅰ
「まぁ、なんて可愛らしい子鬼さまなんでしょう!」
「な、な、なんだ、ほめてもなにもでんぞっ!」
「天さまでございますね!私は、千代にございます」
目を輝かせて同じように自己紹介をする。
その勢いに圧されたのは天だった。
「きー、というのは?」
「きーは、おれたちおにのおさだっ!」
「おさ・・・」
「とのさまってことだ!」
鬼の一番偉い人。
それがきーという鬼なのだという。
千代は首をかしげた。
「きー・・・鬼羅・・・?」
「そうだ!おまえもしっているはずだっ!きーもいっていた!」
「鬼羅って、鬼の殿様だったのですね!」
両手を合わせて目を輝かせた。
そんな偉い人だったとは。
「鬼羅は、どうしていますか?」
「きーはかわってしまった。むやみににんげんをおそうなとおこるし。ときどきぼーっとしてうわのそらだ」
「まぁ。でも、元気なのですね。よかった」
ホッと肩を下ろす。
たくさん傷を負っていたから心配していたのだ。