鬼姫伝説 Ⅰ



「こんなところにいた」



ふわっと優しい風が部屋の中に差し込んでくる。
その風は、千代の髪を撫で通り過ぎていく。




「琉鬼さま!」




聞き覚えのある声に振り向けば、窓から姿を現せた琉鬼の姿。
少しぎこちなく笑う琉鬼に、千代は笑顔を向けた。




「ちぃちゃん・・・。ごめん」

「え?」

「俺、ちぃちゃんのこと・・・」

「気になさらないでください。私も、琉鬼さまに謝らなければならないことが・・・」





琉鬼は、部屋の中に入り千代の前に座った。




「・・・鬼羅に聞いた」




そう言うと、琉鬼は天をつまみ上げた。
天を自分の肩に乗せると、千代に視線を移す。






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