鬼姫伝説 Ⅰ
着物を細長く切り、固く結び長いひも状にしていく。
いつも一人だからそれをする時間はいくらでもあった。
夜。
辺りが暗くなったのを見計らい、窓から長く伸びた紐をおろしそれを伝って下に降りる。
「・・・わ、・・・っ」
手で体を支えることはなかなか大変なことだと。
必死で落ちないように紐を握りしめながらゆっくりと降りていく。
下を見れば恐ろしく目がくらみそうになるため下を見ないよう恐る恐る降りて行った。
「できた・・・」
やればできるものだとホッと胸をなでおろす。
掌はあちこちが擦り切れ血が出ていた。
そんな事を気にしている場合ではないと千代は気合を入れ直し見張り役に見つからないようコソコソと移動した。
どうにか城を抜け出した千代は必死に走った。
草履は用意できなかったため裸足だ。
石が刺さり、木の枝が刺さり、足の裏をボロボロにさせながらも必死だった。