鬼姫伝説 Ⅰ
「お前を、危険な目にあわせたくない」
「そんな、私は平気です!」
鬼羅と一緒にいられるのなら。
「父上の考えに私は賛同できません。でも、私には父上を止める力はありません。・・・だからせめて」
「わかっている、お前が・・・千代は違うということは。影正が何をしようと、千代を恨みに思うことはない」
「それだけじゃないのです!」
こみ上げてくる涙を必死で抑える。
どうか届いてほしい。
「私、このままでは時光さまの元へ嫁がねばならないのです!」
「・・・なに?」
初めて、鬼羅の表情が変わった。
鬼羅の中でも、千代の存在はとても大きなものになっていた。
例え離れていても、あの城で安全に生きているそう思えていられれば。
「いやです!私は、嫁ぎたくなどありません!私は・・・、私は鬼羅をお慕いもうしております!」
思うのは、鬼羅だけ。
そう、鬼羅だけなの・・・・・・。