鬼姫伝説 Ⅰ



「あ、ちぃちゃん」



鬼羅の小屋に姿を現したのは琉鬼だった。
琉鬼は、千代を見ると優しく微笑む。



「琉鬼・・・、この前は、ありがとうございました」

「ううん。こちらこそ、天の事ありがとね」



二人の中のわだかまりもすっかりなくなっていた。
そんな二人を離れた場所から鬼羅が複雑そうに見つめていた。



「なに鬼羅、やきもち?」

「な、そんなわけないだろう」

「どうかなぁ」



からかうように笑うと鬼羅が琉鬼を鋭くにらみつける。
それでも琉鬼は構わずケラケラと笑っている。
鬼羅は舌打ちをしドカッと音を立ててその場に座った。





「天が、鬼羅のところにちぃちゃんがってさわいでたから」

「天が?」

「天は情報屋だからね」

「情報屋?」

「小さいからコソコソといろんなところに忍び込んで情報を取ってくるんだ」




なるほど、と千代は頷いた。



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