鬼姫伝説 Ⅰ
鬼羅との生活は、新鮮だった。
初めて川で魚を捕り火を起こす。
小さな小動物を追いかけたり、木に登ってみたり。
千代にとって、今まで生きてきたどんな一日よりも濃い日々であった。
「鬼羅!見て、あれはなあに?」
「・・・犬だろう」
「まぁ、可愛らしい!」
なにを見るのも新しく目を輝かせる千代。
そんな千代を、鬼羅も温かい目で見ていた。
「もう日も暮れる、小屋に戻るぞ」
「はい!」
一日はこんなにも短かっただろうか。
城にいた時にはどれほど長かったことか。