鬼姫伝説 Ⅰ
「きゃあっ!」
思いの外飛び跳ねた水は千代の顔と着物に直撃。
千代は手で顔にかかった水を拭うと頬を膨らませた。
「鬼羅ったら!」
負けじと水を救い鬼羅に向けて放つ。
それも容赦なくすくえるだけの水を。
「うわ!バカ!加減しろよ!」
「そんなこと、知りませんっ!」
次々へと容赦なく飛ばしていく。
鬼羅の着物だけではなく、千代の着物さえもびっしょり濡れてしまっていた。
「やめろって」
「わっ!」
払った手が思わず千代にぶつかる。
千代がバランスを崩し倒れ掛かる。
それに気づいた鬼羅がとっさに千代の腕を掴むが間に合わず掴んだまま一緒に倒れ込んだ。