鬼姫伝説 Ⅰ
ばしゃーん!!!
大きな水しぶきを上げ倒れた二人は頭から水をかぶる。
千代に覆いかぶさるように倒れ、二人の距離は縮まった。
見つめあう二人。
鬼羅の頬を伝う水がぽたりと千代の頬に落ちた。
「・・・っ、悪い」
一瞬時が止まり、慌てて身体を起こした鬼羅。
千代も続いて身体を起こした。
「すみません・・・。はしゃぎすぎましたね」
「・・・ああ」
どぎまぎとぎこちない二人。
二人の下半身はすっかり水の中だ。
「すっかり濡れちゃいましたね」
「そうだな。どうするんだ、これ」
「どうしましょう」
着物の替えなど持ってきてはいない。
身一つで逃げるのが精いっぱいだった。