鬼姫伝説 Ⅰ
パチパチとたき火は音を立てながら燃え盛る。
カランと手に持っていた木の枝を落とした鬼羅は、慌てて目をそらした。
「鬼羅・・・?」
「・・・なんでも、ない」
顔が赤く見えるのは、火のせいかそれとも・・・。
千代は鬼羅の隣に腰を下ろす。
髪は濡れているためまとめ上げた。
「鬼羅も着替えないと風邪を・・・」
「俺は、平気だ」
「でも・・・」
「人間と鬼とでは体のつくりが違うのだ」
そう言われるとなにも言えなくなる。
千代は黙って視線を火に移した。
「・・・綺麗だ」
「え・・・?」
「な、んでもない・・・」
確かに聞こえた言葉。
意外すぎて聞き返してしまった。
千代が鬼羅を見ると鬼羅の頬はやはり赤く染まっている。