鬼姫伝説 Ⅰ
琉鬼はとても楽しそうに戦っている。
笑顔を浮かべ、家来たちをおちょくるように身を翻しながら。
どんどんやられていく家来に、時光は苛立ち剣を振りかざした。
「殺してやる!!!」
時光は叫びながら鬼羅に向かって行く。
大きく振り切った剣はあっさりと鬼羅によけられ体のバランスを崩した。
その瞬間鬼羅が時光の身体を蹴り上げる。
「ぐはっ」
倒れる時光。
家来がそれに駆け寄る。
「時光さま!」
「いい」
苛立ちながら助けを蹴散らし自分で立ち上がる。
悔しそうにギリリと歯を鳴らし鬼羅を睨みつけた。
「いったん引き揚げる!」
時光はそう言うと家来たちを引き連れ引き返していった。