王子の結婚
ユナがボソッと呟いた『子供っぽい』という言葉
ソウはユナが自分との歳の差を気にしていることを察した
「君は子供っぽくなんてないよ
こんなにも僕の心を魅了して離さない」
ユナの不安を取り除こうと優しく諭す
「…でも私…
貴方が言ってくださる言葉や、してくださる態度に少しも応えられない…」
それどころか恥ずかしくなって逃げてしまう
「私も貴方を喜ばせたいのに、どうしていいか分かりません」
もう、本当にどうしたらいいのか分からないのだ
彼から掛けられる言葉は甘くて甘くて心を揺さぶる
恥ずかしいけれど嬉しい
彼にも同じように嬉しさを与えたい
目の縁に涙を浮かべながら必死で話すユナを見て、ソウは更に魅了された
その姿は妖艶な色香を放ち、今すぐに抱きすくめてしまいたいほど
喜ばせばたいというユナの気持ちを汲んでか、ただの願望か…
「僕を喜ばせばたい?
とても簡単な方法があるよ」
微笑んだ彼からはうっすらと先ほどの意地悪な顔が滲んで見える
そんな気がしたユナはビクッとしながらおずおずと聞く
「ど、どんなことですか?」
ユナの弱気なその態度に優しく微笑んで、
「君にキスがしたい…」
同意を求めるつもりなどなかったソウが、ユナの頬に手を添えて、チュッと軽い口付けをした
ユナは何が起こったのか分からないまま放心状態
そんなユナに問いかける
「ユナの唇は今まで誰かのものになったことはあるの?」
唇が震え、言葉を発することもできず、ふるふると頭を振った
その仕草を見て、ユナの頭を抱き込むように自分の胸の中に収めた
「それだけで僕はもう嬉しくて仕方ない!
でももう一度…」
そう言って片手で頬を、片手で後頭部を支え、優しくも力強く、自分のそれをユナの唇に押しあてた
先ほどの一瞬の口付けとは違い、離れてもまた、と何度も何度も優しい口付けを交わした────