王子の結婚

せっかく用意された美味しそうな料理にも手をつける気になれなかった

胸がいっぱいで何も入る余地などない

ソウの膝の上に抱え上げられ、もうずっと抱き締められたままだった
時より思い出したかのように唇を重ねられ、またギュッと抱き締められる

「僕は今、これまでの中で一番幸せだよ」

ソウはユナの髪を撫でながら幸せを噛みしめていた

結局ユナはまともに応えることはできなかったが、ソウが幸せそうにしているのを感じとって、恐る恐る自分からも背中に手を回した

「ありがとう、ユナ
君を絶対に幸せにするからね」

またソウから唇を奪われ、恥ずかしながらも『はい』と答えた


時間が許す限り、抱き合い口付けを交わした
政務に向かわなければならないギリギリの時間までソウはユナを離さず、その時が来ても名残惜しかった

「ユナ、また明日、2人でいられる時間作るからね」

女官たちがいる前になっても中々手を離さなかった

「はい、ありがとうございます
もう行かなくては…」

繋いだままの手を見て、嬉しいけれど恥ずかしい
女官たちは微笑ましく見守っていた

「分かっているが、どうにも離れがたい
早く君の誕生日が来ればいいのにな」

周りを気にも止めず、相変わらずの甘い言葉

「じゃあ、もう行くよ」

そう言って離された手をすぐに反対の手で握った
無性に寂しくなったのだ



早く明日が来ますように



目を瞑って、今まで繋がっていた右手を握り、心の中で強く願った





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