王子の結婚
「どうしたの、ユナ
今日は結婚の儀の説明を受けたんだよね?
何か分からないことでもあった?」
相変わらずの膝の上
部屋に入った途端に引き寄せられた
この距離で詰められると逃げ場がない
距離が離れていたとしても、誤魔化せはしないだろうが
「…いえ、ただ…
流れを聞いて、吃驚してしまって…」
赤くなってもじもじと話す姿に、何のことかすぐに察しのついたソウはまたいたずら心が顔を出す
「何か吃驚するようなこと、あったかな
神聖な儀式だよ?」
神聖と言われユナはかぁっと熱を帯び、更に真っ赤になる
(神に誓う儀式なのに…私は何てこと考えて…)
恥じているユナは泣きそうで、ソウはすぐに降参する
「ごめん、またユナが可愛くていじめてしまった、許しておくれ」
ユナの頭を抱え込み、よしよしと撫でる
「初通い、だよね?
不安に思わないで、無理強いしたりしない
形式だけだから…
朝まで一緒に過ごすだけでいいんだよ」
18になるその日はユナが成人と認められる日である
大人と見なされるのに、穢れを知らない純粋な少女のようだ
「嫌…じゃないです
ただ皆に報せているようで恥ずかしくて…」
その顔は時より見せる“女”の顔
意図せずソウを誘う
その色香に惑わされ、意地悪ではない艶を落とす
「ならばそれよりも前に僕のものにしてしまおうか…」
抱きすくめ、強引に唇を奪う
ユナの戸惑いは伝わったが、拒絶は感じられない
すぐさま舌を押し入れた
おずおずとしながらも、応えようとしている
名残惜しくも唇を離すと、潤んだ瞳と濡れた唇が目に入る
「本当に今すぐ僕のものにしたいよ」
これ以上見ていたら理性が保てないと、ユナを胸に抱き締め、自分を落ち着かせる
「私も貴方のものになりたいです」
顔をうずめているユナは、いつもの恥ずかしさが半減されて、その意味を知ってか知らずか、
ソウに打ち明ける
ソウの抱き締める腕の力が強くなった
「純粋さは最強の武器だな…」
意味の分からない言葉を吐き、
「君はもう僕のものだ」
そう言って、重ねるだけの口付けをした
嬉しそうなユナの顔を見て、間違えずに良かった、とソウは胸を撫で下ろした