王子の結婚
翌朝、一人での食事を終え、国王陛下とお妃への挨拶に向かう事となった
初めて足を踏み入れた王宮
想像していた所とはだいぶ違ったみたいだった
国王陛下、お妃が数段高い玉座から臣下を見下ろす状況を想像していたが、全く違っていた
国王と正妃が隣り合い、少し離れて側室たちが座っている
見上げるような位置ではなく、同じ地を踏んでいる
ユナの邸よりも少し広い程度のその謁見の部屋は、過剰な緊張を抑える為の国王の取り計らいか、彼らとの距離を縮める功を奏した
「ユナ、これは君の意にそぐわない婚姻かも知れない
でも君の家と王家の婚姻がもたらす影響は大きい
我慢をさせる事になるとは思うが、出来るだけのことはしてあげたいと思っているよ」
国王が優しい口調で話しはじめた
「私は君の父になるんだ
国王という立場はもちろんあるが、ソウもユナも大事な私の子供だからね
何かあったら私や妃たちに相談しなさい」
以前抱いていた国王のイメージは少し怖くて近寄りがたいという感じだった
でも今日、初めて間近で見る国王は貫禄はあるが優しい父親の顔をしていた
「ありがたいお言葉、痛み入ります
この結婚は元より決められていたものではありますが、私は望んでこちらに参りました
まだお会いした事のない王子ですが、素晴らしい方だと聞いております
心よりお仕えしたいと思っております」
ユナはもちろん本心からそう伝えた
「ありがとう、ユナ
ソウは私が厳しく育てた心優しい男です
きっとあなたを幸せにしてくれるでしょう」
国王の隣に座る正妃がにこやかに言う
ユナは「はい」と微笑み返し、和やかな談笑の時間を過ごした