王子の結婚

キーナはユナの専属の女官の一人と決められた時、出世ではあるが大きなショックも受けた

子供の頃から王宮で働くキーナには、ここで会う女性たちに蔑まれる事も少なくなかった

特にここ数年は国王や王子たちとも顔を合わせる事もある場所で仕えていた

『この場所に入る女官は容姿で選ばれる』

小さい頃からそう聞いてきた場所だ


国王や王子たちの目に無駄に止まらぬよう、またその妃から不興を買わぬよう、見目の麗しくない者

技量に次いで、それが選ばれる大きな理由

そして最高位の女性に仕えるという事は、もちろん能力が秀でていなければ不可能なのだが、キーナにとって、最も美しくないと宣言されたようだった

自分の容姿が優れない事など、よく分かっている
だからそれを見返す為に仕事は誰よりも優れようと努力してきた
そしてその結果を得た
なのに心からは喜べない自分がいる

誰よりも秀でていると誇れるはずが、女としては最低だと烙印を押されたようで


誰よりも美しいと評判のユナを目の前にして、嫉妬のような気持ちが湧き上がってしまった


王家と見合う上流の家庭で何不自由なくのほほんと暮らし、容姿にも恵まれ、次期国王の元へ嫁ぐ
どれだけ手を伸ばしても届かないものを全て持っている


彼女の心なんて知らない、自分の境遇と比較した、ただの嫉妬だ

そんな温室育ちで美貌だけが武器のユナに蔑まれ、こき遣われ、見下される生活など耐えられないと思っていたのだけれど…






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