姉弟ものがたり


「その辺に座って待っててください。今、お茶いれますから。あっ、コーヒーの方がいいですか?」

「お茶でいいよ。何か手伝おうか?」

「大丈夫ですよ、学さんはお客さんなんですから」


家についてすぐにキッチンに向かうと、学がそのあとに続く。

遥はといえば、いち早くソファーに倒れ込んでだらしなくくつろいでいた。


「どちらかというと、姉ちゃんに手伝って欲しいくらいです」


ため息をついて遥の方を見やると、学もそちらを向いて笑みを零す。


「遥ちゃんらしいね。いつでも自然体で自由な感じ、優くんがしっかりしなきゃって思う理由もわかるよ」


学が楽しげに笑っている間に、やかんに水を入れて火にかける。


「父さん達も出かける前に、優がいてくれるから安心して遥を置いていけるって言ってましたから。おかげで俺はせっかくの休日も姉ちゃんのお守りですよ」

「それは災難だね」


まるで面白がるように学が笑う。
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