姉弟ものがたり

炒めた具材と米を炊飯器に入れ、コンソメとお湯を注いだら、塩と胡椒を加えてスイッチを入れる。


「ゆうくーん、いい匂いしてきたー!」

「そりゃ良かった。これから炊くからまだ時間かかるからな」


炊き終わるまでの間に、再びフライパンをコンロにセットして、ホールトマトの缶詰を開ける。

そこにコンソメスープと生クリームを加え、トマトを軽く潰しながら煮詰めて、塩と胡椒で味を整える。


「ゆうくんまだー?」

「時間かかるって言っただろ」


炊き上がるまであと少し、フライパンに蓋をして一旦火を止める。


「本当に、凄くいい匂いだよ。遥ちゃんが待ちきれなくなる気持ちもわかる。流石だね、優くん」


こちらを振り返って微笑む学に、照れ笑いを返す。


「やってみたら色々凝りたくなっちゃって。意外と楽しいんですよね、料理って」


せっかく学に手料理を振る舞えるのだから、本当ならもう少し時間をかけてじっくりと調理したいところではあったが、腹ペコの遥が大人しく待っていられるわけもないのはわかりきっている。
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