姉弟ものがたり


「おおー、美味しそう!!」


遥が皿の前で大きく息を吸い込むと、ふわっと立ち上った湯気が掃除機に吸われるように勢いよく吸い込まれていく。


「これは学さんの分な、零すなよ」


遥に皿を二つ持たせて先にキッチンから出し、優もあとからそれに続く。


「お待たせー!こっち、まなぶくんのね」

「俺の場所どこ?」

「ゆうくんはそこだよ」


そこそこと指さされた場所に皿を置いて座ると、学もソファーから下りて床に腰を下ろし、三人でテーブルを囲んで仲良く手を合わせる。

その中でも遥は、誰よりも先にスプーンを掴んでピラフに飛びついた。


「トマトクリームのソースにゴロゴロチキン!!うーん……美味しすぎる」

「ほんとだ、凄く美味しい」

「ありがとうございます。……姉ちゃん、零してる」


スプーンから溢れんばかりにピラフを掬い上げて息を吹きかけると、遥はそれを一気に頬張る。
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