姉弟ものがたり


「やっはり、ゆうふんのヒラフははいほー!」

「遥ちゃん、何を言っているかわからないよ」

「飲み込んでから喋れよな」


可笑しそうに笑う学と、呆れたような優、二人の視線を笑顔で受け止めて、また遥はスプーンいっぱいにピラフを口に入れる。


「ねえ、ゆうくん!今度お弁当にも入れてね」

「……この前入れたばっかりだろ」

「この前のはシーフードだったし、こんな風にソースもかかってなかった」

「たまには自分で作ったらどうなんだよ」


「ケチー!」と喚く遥だが、ピラフを口に入れた途端幸せそうに表情が崩れる。

怒ったり笑ったり食べたりと、何とも忙しい奴だ。

そんな遥を見守りながら、学も黙々とスプーンを動かす。

優もまた遥をかわしたり無視したりしながら食べ進め、三人の皿が空になったところで学に視線を移す。
< 50 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop