姉弟ものがたり
「学さん、お茶のおかわりどうですか?それとも、コーヒーいれてきましょうか」
「優くん、さっきから動きっぱなしで疲れたでしょ。コーヒーは僕がいれてくるよ。座っていて」
「大丈夫ですよ、これくらい」
男二人で譲り合いながらお互いに中途半端に腰を浮かせていると、横合いから突然強烈なタックルをかまされて、優がよろける。
見れば、腰にガッチリと腕を巻きつけた遥がいる。
「何すんだよ!危ないだろ」
「お姉ちゃんは、食後のオレンジジュースが欲しい!」
「俺の話を聞け!!」
縋り付いてくる遥をなんとか引き剥がそうともがいていると、クスッと笑う声が聞こえた。
顔を上げれば案の定、学が声を抑えて笑っている。
「学さん、笑ってないで助けてくださいよ」
「ごめんごめん」
中途半端に腰を浮かせていた状態からようやく立ち上がった学は、優の腰に巻きついている遥の腕を解いて引き離す。