姉弟ものがたり
優*似ている

“映画研究サークル”と紙が貼られた教室のドアを開けると、中は相変わらずの静寂に満ちていた。


「あっ、お疲れ様小山くん」

「お疲れ様です、本庄先輩」


この部屋が賑わい始めるのは、コンクールの締め切りまで一ヶ月を切ったあたりから。
それまでは、この部屋に集まって来るのは決まって二人だけ。


「この間小山くんが言ってた映画ね、私も観に行ったよ」

「へー、どうでした?」


手近な椅子に腰掛けると、鞄から今日渡ったばかりのプリントと筆記用具を取り出す。


「ギューンってアップになったかと思ったら、ズバって引いて全身撮しちゃうところとかすごかったかな」

「…すいません、さっぱりわかりません」


満面の笑顔でさらにカメラアングルの良かった点について語りだす先輩を軽く受け流して、目の前のプリントに意識を集中させる。


「小山くん聞いてる?何書いてるの」

「課題です」
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