姉弟ものがたり

アルバムの表紙を穴があくほどジッと見つめて、彼女の声を聞く。
消すに消せず残したままにしておいた連絡先が、まさか再び…しかもこんなタイミングで繋がるだなんて思ってもみなかった。


「…久しぶりだね」


驚きのあまり、気の利いた台詞も出てこない。
それでも楽しげに近状報告する彼女の声に耳を傾けて時折相槌を打っていると、まるで時間が巻き戻ったような不思議な感覚に囚われた。
それとともに襲いかかってくるのは、ジリジリとした何とも言えない胸の痛み。


「佐久間…?」


そう言えば…昔よりも若干声が低くなったような気がする。
いや…低くなったというよりは、声に深みと落ち着きが増したというべきか。
きっと今の彼女ならば、妙に大人びていて不釣り合いだったあの笑顔が、よく似合う大人になっているのだろう…。


「真緒」


ぼんやりしていた意識が次第に元に戻っていく中で、気がつけば彼女の名前を呼んでいた。
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