悪役系女子と王子様
それで?
誰もいない廊下でばったり会った
この先は行き止まりで、俺らの溜まり場しかないというのに
「どうしたんですか?笹原さん」
あくまでも、冷静に
きっと彼女の中のイメージは幹部の俺なのだから
いつも余裕で、笑顔を絶やさない
本心を出さない俺でいろ
君をみただけで泣き出しそうだなんて女々しい俺を、どうか映さないでくれ
笹原さん、と言ったとき
どうして名前を知っているの?とでも言いたげに眉を顰めた彼女
その怪訝な表情さえ愛おしい俺は、既に彼女に溺れている
名前を知らないはずないだろ
ずっと知ってるよ
「……私は、あなた方の姫を、虐めました」
その制裁を受けに来た、と