東堂くんは喋らない。
東堂くんと雨の中。
【緊急事態発生。
至急、返信せよ】
山本からそんなラインがきたのは、8月に入ってすぐの暑~い日。
クーラーの入った部屋でアイス片手にゴロゴロしている時だった。
山本がいう緊急事態とは、99.9%の確率で“緊急”ではない。
長年の経験を駆使してそう判断した私は、返信を後回しにしてゴロゴロするのに専念することにする。
あ~、極楽ごくらく…
すると、机の上に置いてあったスマホがけたたましく振動しだした。
画面を見ると、やっぱりというかなんというか…山本。
「…もしも『おっまえ早く返事しろよどーせ暇だろっ!?』
うるさっ。
必要以上にデカい山本の声。
私は若干スマホを耳から離す。
「声デカすぎ!で、何か用?」
『あー…なんつーかお前……来週の花火大会とか、行くの?』
花火大会?