東堂くんは喋らない。
「…ふーん。ホントにあの東堂がそんなこと言ったの?」
「言った!ぜぇったい言った!」
昼休み。
いつも通り柑奈とお弁当を食べながら、私は東堂一哉との一件を報告した。
「あいつ、意外と口悪いんだー。なんか大人しそうなのに」
「悪い!ついでに言うと性格も悪いよ!絶対!」
「ま、何でもいいけど東堂一哉ってどんな声なわけ?聞いたことないから凄い興味ある」
「どうって…別に普通?ってか私も“バカ”とか“うざ”とか“あんた”とかしか言われてないし…
なんなの?東堂くんって最大喋っても三文字…」
「…あ」
「ん?」
急に視線をあげた柑奈につられて振り向くと、
…げげ。
冷やかに私を見下ろす東堂くんが立っていた。
「…あ、あのー、えっと」
私が言い訳するよりも早く、さっさと教室を出て行ってしまう東堂くん。
~~あぁ!なんかもうやだ!こんな関係!
「東堂くん!」
私は箸を置くと、急いで東堂くんを追いかけた。