東堂くんは喋らない。
アイツは、男女問わず人とよく話す。
別にそんなことどうだっていい。
誰が誰と仲良かろうが話そうが、自分には全く関係ないこと。
…なんてずっと思ってたはずだったのに。
…一体いつからなのかは、自分でもよく分からない。
気づいたら男と話している時の松原を、ガン見している俺がいる。
しかも必要以上に
「眉間に皺寄ってんぞ?」
急に松原が見えなくなった、と思ったら、山本がニヤニヤしながらそこに立っていた。
山本…。
どっちかというと、松原と同じような、俺が最も苦手とするタイプの人間だ。
ただ一つ違うのは。
「松原が他の男と話してるのが気に入らないのはわかるけど?
あーヤレヤレ!わかりやすいったらありゃしない」
なぜか俺の気持ちを完璧にお見通しだということ。