東堂くんは喋らない。
夏祭りの日。
自分でも、松原と手を繋いでしまったのは予想外だった。
でも、どうしても隣にいると…
触れたくなる。
そんなことを考える自分にドン引きだ。
こんな俺は、俺ではない。
ちなみに…あんなことを言うつもりも、もちろん、なかった。
“手繋ぎたいから繋いでるだけなんだけど。”
…ただ、
友達に、俺のことを彼氏じゃない!と思いっきり否定するアイツを見てどうしようもなく、イライラする。
いや分かってるんだ、イライラする俺がおかしいことは。
断じて俺たちは付き合ってるわけではないし。
松原は何もおかしいことは言ってない…
でも、イライラした。どうしようもなく。
自分の中には、自分だと認めたくない、かなり傲慢な俺がいることを知った。