東堂くんは喋らない。
さっきは自分からあんなに顔を近づけてきたくせに、今は驚きで固まってる、至近距離の松原。
そしてハッと我に返ると、慌てて俺の腕を振りほどき距離を取った。
「と、東堂くん…も、そんな冗談言うんだね。ちょ、ちょっとってか、かなり意外ー!」
「…無理やり冗談にしようとすんなよ」
…イライラする。
何もかもにイライラして、止まらない。
「俺の本当の気持ち知って困るのはそっちだろ」
「………」
「…言っとくけど俺は
あんたとの友情なんて全然、欲しくないから」
クルリと背を向けて、松原を傷つけたことになんて気付かないフリをする。
でも、このまま偽の友達ごっこなんて…
俺には無理なんだ、やっぱり。
無理だから、傷つけて
終わるしかない。
…ごめん。