東堂くんは喋らない。
「言っとくけど別に超能力者じゃねーからな」
一瞬興奮しかけたが、山本にそう冷静に否定された。
「ちょ、じゃぁ何で私の考えてることも全部わかるの!?」
「だってお前相当わかりやすいじゃん、東堂もだけど」
ま、マジでか…
「…よく考えろよ」
私の横を通り過ぎる瞬間、ポン、と山本が私の肩に手を置く。
「一回友達じゃなくて、男として考えてやれよな、東堂のこと」
「お、男として…?」
「そ。ま、お子チャマな松原には相当難題だろーけど」
「お子チャマぁ!?」
だってそうだろ、と山本が得意気に笑うけど、たしかに恋愛面で相当お子チャマな私は反論できない。
「くそっ…山本のくせに…!」
「何だよそれ。
じゃ、俺帰るわ!お先ぃ~。
いーか、ホントしっかりきっちりよぉ~く考えてやれよなっ!」
あーホント友達想いだわ俺!ヤバいわ!と自分に酔いながら帰っていく山本の背中に、ボソリと呟く。
「考えるって言ったって…」