東堂くんは喋らない。




「…おあよ~、柑奈…」



「あぁ、おはよ香弥…って!何そのクマ!?どうしたの!?」




翌日、教室の入り口で遭遇した柑奈に声をかけると、メチャクチャ驚愕した顔で私を見てきた。



「あーうん、一晩中考え事してたらさ、気付いたら朝になってて…」



「え!?徹夜したの!?あのテスト前ですら9時間睡眠のあんたが!?」



「ちょ、柑奈ボリューム抑えて…頭に響く…」




そう、どんなに危機的なテストの前でも徹夜だけはしない…というか、できない私。



そんな私としたことが、東堂くんを“男として”考えているうちに、気付いたら雀が鳴いていた。




「柑奈…朝日って眩しいんだね…」



「ちょ、大丈夫香弥!?ったく、何をそんなに考えてたの?悩みがないことだけがあんたの取り柄でしょーが」



うおー、親友のくせになかなか辛辣なお言葉。



「あー、うん、実は…お、おお…」



「お、おお?」



「おおおおおと…」



「あ、おはよ東堂」





!!!!!






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