東堂くんは喋らない。
柑奈の言葉に、ガバァッと首が取れそうな勢いで後ろを振り向く。
と同時に、私のすぐ後ろにいた東堂くんと視線がぶつかった。
お、おおおおおお…!!!
「と、東堂くん!あの、おおおお…お」
「…はよ」
先に視線を逸らしたのは、東堂くん。
そしてまるで何もなかったかのように私の横をすり抜けて、自分の席に向かっていった。
「………」
「…ふーん、なるほど?」
思わず東堂くんのそんな姿を見つめる私に、柑奈がニヤニヤとした笑みを浮かべる。
「…な、なるほど?何が」
「あんたの徹夜の原因。東堂でしょ」
!!!
「な、な、何で…!」
「言っとくけど相当わかりやすいよ、あんた」
…そういえば昨日、山本にも全く同じこと言われたような。
「…柑奈…どうじよう~!」
「え、なに急に!?」
ガバッと急に抱き着いた私を、かなり戸惑いつつも受け入れてくれる柑奈。
「私…“男”がわからない~!!」
「は…はァ?」