東堂くんは喋らない。
「…なるほどね」
うんよく、一時間目の古典は担当教師の体調不良により自習となった。
というわけで、私は勝手に柑奈の席に行き相談をしている。
だって東堂くんの隣にいるのも…気まずいし!!
「東堂がねぇ、ふーん。
あの無口で無愛想で何考えてるかわかんない東堂がそんなことを…」
「ちょ、バレる!バレるから東堂くんの方は見ないで!」
振り向こうとする柑奈の首を無理やり前に戻す。
グキッて変な音が聞こえた気もするけど…うん、ごめん。
「大丈夫だって、あいつ自習に集中してるし」
首を摩りながら呆れたように言う柑奈。
そんな柑奈の言葉にそっと東堂くんを盗み見ると、静かに指定された問題集を解く彼がいた。
…東堂くんはやっぱり、こんな時でも…東堂くんなんだな。