東堂くんは喋らない。
東堂くんと、リレーに出ます。
「あ゙ぁああああぁああ……」
「え、なに超コワいんだけど」
外は快晴、微風、陽当たり良好。
なのに私の中はなんだかすごくモヤモヤしていて
このどうしようもない気持ちに呻いていたところ、柑奈に脅えられている。
東堂くんに、忘れて、と言われた昨日。
もう考えないで、と言われたのに、なんだか…ますます考え込んでしまった。
あの後、東堂くんが教室を出ていった後も、呆けたように一人、教室に突っ立っていた。頭痛は完全にどこかにいってしまっていた。
たぶん、東堂くんは私のことを思って、ああ言ってくれたんだと思う。
きっといつまでも答えを出せない私を見かねて、私のために言ってくれたんだと思う。
…ホントはちょっとホッとした自分がいた。
考えなくていいって言われて、答えを出さなくてもいいことに、安堵した自分がいた。
でも
『…お前のことが好きだって言ったらどうする?』
簡単に、忘れられないよ…。