東堂くんは喋らない。
東堂くんと私の距離。







それから数週間が過ぎ、いよいよ学校全体も体育祭本番モードに。




放課後に体育祭の練習をするクラスも増え、私たちもトラックを使ってリレーの練習をするようになった。




「うん、いい感じだな!」




何回か流して走り、山本がご機嫌そうにバトンをいじりながら言う。




「峰岸!バトン超もらいやすいぞ!さっすが俺らだな!」



嬉しそうな山本とは反面、柑奈は深刻そうな表情だ。




「あのさ山本。バトン受け取る時、ウインクするのやめてくれる?吐きそうになるから」







「東堂、走るの速いねほんとに。なんかスポーツやればいいのに、勿体ないよ」



隅の方では、夏海ちゃんが東堂くんに話しかけていた。



「もうちょっとこう、腕真っ直ぐ振るようにしたら、もっと良いと思うけど」



「……わかった。こう?」



「うん、こういう感じ」



真剣に夏海ちゃんの話を聞いている東堂くん。


陸上部の夏海ちゃんは、やっぱりこの6人の中でも抜群に頼りになる存在だ。




そして最近、東堂くんとよく2人で話しているのを見かける。



東堂くんが女子と話しているのを見るのはレアだから、なんだか…




「松原」




ボーッと東堂くんと夏海ちゃんを見ていたら、遠藤くんが声をかけてきた。






< 188 / 268 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop