東堂くんは喋らない。
そのまま歩いていこうとする東堂くんを
「あのっ!」
…気付いたら、呼び止めていた。
怪訝そうに東堂くんが振り向く。
「………なに」
…なん…だろう。
何で呼び止めちゃったんだろう。
なんか、気付いたら体が勝手に…!
「え、えっと…」
東堂くんとは、前より全然、話さなくなった。
その分、たくさん話したいことがあるはずだった。
なのに、何でだろう。
そのどれもが、口をついて出てこない。
「……」
自分から声をかけたくせして黙り込むあたしに、東堂くんが呆れたような、軽いため息をついた。