東堂くんは喋らない。
「…なんか、邪魔した?」
そんな東堂くんを見送りながら、遠藤くんがそう気まずそうに聞く。
「…ううん、そんなことないよ。
じゃぁせっかくだから見学させてもらおうかな?バスケ部」
「おっしゃ、ようこそバスケ部へ」
「キャーッ!ナイッシュー、遠藤くーん!!!」
「中野くんっ、ファイトーッ!!」
そしてバスケ部の見学に来たのはよかったのだけど…
予想外に体育館に響き渡るのは、ボールのドリブル音すらも掻き消す女子たちの黄色い声援。
バスケ部はイケメンが多いから女子に人気っていうのは知ってたけど、まさかここまでとは。
「こっからよ翔太~!」
「負けるな、山田ーっ!!!」
中には選手たちより熱いファンの皆さんもいて
「……ふ、ファイト~!」
私も浮かない程度に、そうゲームをする選手たちに声援を送った。