東堂くんは喋らない。
じわっと目頭が熱くなる私に、東堂くんがニッと口角をあげた。
「…だから特別に、これからは友達でいてやるよ」
「と、東堂くん…ごめん…ごめんね」
「謝るな。そんで泣くな。泣きたいのはコッチだって」
東堂くんが泣きそうな顔で笑って、それからギュッと唇を噛んで、私の肩から、そっと手を離した。
「明日からは、友達だ」
どこか元気のない蝉の鳴き声が、夏の終わりを知らせてる。
私の頭をポンポンッと叩いて、東堂くんが公園から出て行った。
…なんでこんなに泣きたくなるの。
泣きたいのは、東堂くんの方なのに。
「…ごめんね…」
謝るなって言われたけれど。
誰もいない公園でポツリとそう、呟いた。