東堂くんは喋らない。
男の体育祭・その1
ついに、この日がやってきた!!!
俺、山本竜平(ヤマモトリュウヘイ)はやる気と闘志に満ち溢れていた。
何より祭りが好きな俺。何よりイベントが好きな俺。
そんな俺が高校生活二度目の体育祭に、燃えないワケはなかった。
今回は気合いを入れてクラスの体育祭実行委員長にも立候補したしな!つーわけで!
「フレ~!フレ~!あ・お・だ・ん!」
俺はクラスの先頭に立ち、青色の旗を振り回してそう応援をする。
俺の学校の体育祭は、1年、2年、3年と一クラスずつチームになって対抗する。
それは各クラスの実行委員長によるクジ引きで決定され、それぞれ、青団、ピンク団、黒団、黄色団、緑団、オレンジ団、という風に割り振られるのだ。
団長は、それぞれの色の3年のクラスから一人選出されることになっており、これが超目立つしカッコイイのだ!
というわけで俺は、来年は絶対絶対、団長になると心に決めている。(例年だと団長はクラス一のイケメンがなるという謎の法則があるが、俺はそんなこと微塵も気にしちゃいない)。
まっ、来年のことは来年考えるとして!
とりあえず今は、目の前の体育祭に全力を出し切るまでだ!
「フレ~!フレ~!あ・お・団!」
今は3年によるムカデ競争が行われている。
というわけで1・2年の青団が集結し、3年の青団の応援をしていた。
「よくこんな暑い中、そんなでっかい旗振り回す元気あるよね~」
競技が終わり、旗を置いてテントに戻る途中、たまたま近くを歩いていた峰岸がそう話しかけてきた。