東堂くんは喋らない。
あぁ、今日はいい天気だ!もう夕方だけど!
「よしっ走るぞハチ!」
なんだか楽しくなって走り出すと、ハチもワンっと吠えて走り出した。
いつも近所の公園まで行って、そこで暫く戯れてから家に帰るのが定番コース。
「よし、着いたぁ!」
公園に着いた時にはヘロヘロで、近くにあったベンチに座ると、ハチが不思議そうにクゥン、と鳴いた。
「ごめんごめん、ちょっと休憩…っわ、何!?」
グン、と突如引っ張られたリード。
突然ハチが何かを目指して一目散に走り始めたのだ。
尻尾振りまくりだし息荒いし、どうしたの突然!?
不思議に思って見ると、ハチの向かう先にもう一匹犬がいるのが見えた。
茶色い毛並みが綺麗なミニチュアダックスフンド。
両耳にリボンをつけてるから、たぶん女の子。
あー、なるほどね。