東堂くんは喋らない。





もうこのお話をここまで読んでくれている心優しい皆さんはお分かりのことだと思うが、俺は峰岸が好きだ。


いつからとかは分からないけど、とにかくずっと好きだ。





だけど峰岸は俺の想いには全く気付いてない…というか、気付いたところで全く振り向いてくれる見込みもない。




だけどそれでも好きなもんはしゃーないし。




地道に様々な角度からアピールしているつもりだが、未だ成功する予感は…なし。




でも俺は諦めないぞ!!





「おりゃぁあ~!!」




とりあえず今は目の前のムカデ競争(先頭)を全力で走り抜ける!




「うおお~!!」



とりあえず今は目の前の大縄跳びを全力で飛びまくる!





「………燃え尽きた。燃え尽きたよ。真っ白にな…」



「大袈裟だな~、山本は」



大縄跳びで6クラス中5位という順位に沈んだ我がクラス男子。



テントで項垂れる俺を笑ってる酷い奴は松原だ。



東堂は少し離れたところで黒沢と話していた。




あの二人、最近よく話してるみたいだな…なんてショックを受けつつそんなことを考えている俺の目の前に差し出された、一本のペットボトル。




「水。飲む?まだ口つけてないから」




…俺にはガチで、水入りペットボトルを差し出す峰岸が、女神に見えた。





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