東堂くんは喋らない。





どうやら、松原の言っていた“知り合い”というのはアイツらしい。



すっかり気心の知れた仲といった感じで、楽しそうに話す峰岸の横顔が印象的だった。



誰だアイツ誰だアイツ誰だアイツー!!



そんなことをグルグル考えている間に会話は終了したらしい。


軽く手を振って、こっちに戻ってきた峰岸が立ち尽くす俺を見、ハタと足を止めた。一緒に笑顔も消えた。



「…どうしたの山本。なんかすっごく険しい顔してるけど」



「…誰だよアイツ」



「え?」



一瞬、戸惑ったように瞳を鳴らした峰岸だったけど、すぐにいつものクールな表情に戻って




「あー、中学の友達?」



面倒くさそうにそう答えつつ、俺の横をすり抜けていった。



「友達?ほんとに?」



そんな峰岸を追いかけつつそう問う俺は我ながら女々しいと思うが、この際そんなこと以上にさっきの私服イケメンが気になる。



「ほんとだよ」


「本当か?それにしてはかなり仲の良さそうな…」


「…あーもう面倒くさいな」




盛大にため息をついた峰岸が、もう観念といった感じで振り向く。



「中学時代に付き合ってた、元カレ。
これでいい?」



「へぇ〜元…」





元カレ!?





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