東堂くんは喋らない。
「…それ今全然関係なくない?」
「関係あるんだよ!俺には!いいから教えろ!」
ゲシ、と東堂の足を蹴るマネをすると、東堂が心底嫌そうな顔をする。
そしてさりげなく俺から距離を取って言った。
「…俺らは…もうとっくに終わってるから」
「…は!?」
「だから、終わってんの。松原に友達でいてくれって言われた」
ま…マツバラ…。
脳内の一言が思わず片言になってしまう。
フったのかよお前!!
傍から見る限り、絶対松原だって東堂のこと友達以上に見てると思うのに…やっぱ、正真正銘のお子チャマだったか。
「辛い…辛いよな東堂…ドンマイ!」
「…え、何で泣いてんの?」
俺の励ましに明らかに引いた表情をする東堂。失礼な奴だな。
しかしぶっちゃけ、俺だって今のところ峰岸に振り向いてもらえる確率は限りなく0に近くて。
「がんばろうな東堂…俺ら…!!」
「…痛いんだけど」
東堂の手を握ってブンブンと振り回す。
痛いとか言うな男だろ!!!
女との失恋は、男同士の友情を深めさせる。
そんなことを思った俺は、また一つ大人の男になった気がした。