東堂くんは喋らない。
「よくやったお前ら~!よく、俺らの仇、取ってくれたな…!」
戻ってきた女子たちに向け、男子大縄跳び学年5位の結果を引きずっている山本が言う。
「まぁね~!男子と違ってうちら、団結力あるからさ~!」
それに得意げに答える松原。
そして、不意にバチッと視線がぶつかった。
…あ、やば。また…
なんて思うのに、一度絡み合った視線をなかなか解くことはできなくて
「…と、東堂くん、応援してくれたっ?」
どこかぎこちない笑顔を浮かべた松原が、少しだけ気まずそうに近づいてきた。
「…うん。お疲れ」
「ありがとー!」
ビシッとピースを決める松原。
そんな松原の頭の上に、落ち葉が一枚ついていて。
…こんなのどこでつけてきたんだか。
どこか抜けてる松原に、気付いたら手が伸びていた。
「…ついてる。葉っぱ」
「え…えっ!?あ、ありがと…!」
まっすぐな髪の毛は見た目よりずっと柔らかくって。
気まずそうに目を逸らす松原に、俺は初めて、また自らのミスに気付く。