東堂くんは喋らない。
東堂くんと、知らない感情。
「うぉおお~ッ!!!」
謎の雄叫びをあげながら山本がトップでゴールテープを切る!!ことはなかったが、我がチームは全体3位という好成績で代表リレーを終えることが出来た。
「やった~!」
「おっしゃァ~!」
戻ってきた山本と勢いよくハイタッチ!
夏海ちゃんともハイタッチを交わした。
「さすが夏海ちゃんっ!夏海ちゃんが2人もごぼう抜きしてくれたお陰だよ~っ!」
「いや…」
…あれ、なんか元気ない?
その時、ふと険しい顔してこちらに歩いてくる東堂くんの姿が見えた。
…えっ何であんなに険しい顔!?もしかして喜びを必死に噛み殺してるとか!?
「東堂く…」
呼びかけた私に東堂くんが応えることはなく
そのまま横をすり抜けていく。
…え…
「黒沢」
東堂くんが駆け寄ったのは、夏海ちゃんの傍だった。