東堂くんは喋らない。




「ありがと。
打ち上げも、多分いけると思う。
東堂も行くでしょ?」



「…俺?俺は…」




チラ、となぜか私を見た東堂くんと目があう。




「…気が向いたらな」



「えー?なにそれ?
まぁいいや。私、一回教室戻るね」



そしてゆっくり歩き始めた夏海ちゃんと、寄り添うように東堂くんも歩いていった。




「大丈夫だって、もう」


「……大丈夫じゃないでしょ。階段とかあるし」



「東堂って、意外と心配性だよねえ」




ゆっくり遠ざかっていく2人の背中。




…夏海ちゃんが大丈夫そうでよかった。




そう、本当に思うのに。



それとは別に、なんだか分からない、モヤモヤとしたものが体の奥底から沸き起こる。




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