東堂くんは喋らない。






「食ってるか〜??」




柑奈とお肉を焼いては食べ、焼いては食べていると、右手に綿菓子を持った山本がやってきた。



ドカッとそのまま柑奈の隣に腰掛ける。




「食ってるか峰岸!!」


「見れば分かるでしょ、食ってます」



相変わらずクールな柑奈。



「ってか山本、もう綿菓子食べてるわけ?早くない?」


「いいだろ別に!バイキングなんだから」



よく分からない理屈を言って綿菓子に食らいつく山本。




「うん!うまいぞ!!あっ!東堂〜っ!」



そして近くに東堂くんを見つけると、席を立った。慌ただしい奴だ…と思っていたら、そのまま東堂くんを連れ、舞い戻ってくる。




「元気か東堂!ってお前なに寿司食ってんだよ!ここは肉だろ!!」


「…あんたも綿菓子食べてるけどね」




最もな東堂くんのツッコミに、思わず笑ってしまった。


そしたら、東堂くんがふ、と私を見て。ちょっと口角をあげる。



…なんだか、東堂くんの笑顔を久しぶりに見た気がして。胸がじんと熱くなった。




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