東堂くんは喋らない。
遠ざかっていく東堂くんの背中を見送りながら、ストン、とベンチに座り込む。
唇を触ると、まるでそこの熱が移ったみたいに、カッと顔が熱くなった。
…わ、私、東堂くんと今…!?
信じられない気持ちと、なんだか泣きたいような気持ちが私の中でごちゃまぜになる。
『嫌われた方がずっと楽だ』
…だけど、私は……
それは唐突に。だけどずっと前から、まるでそこにいたみたいな気持ち。
私、すきだ。
東堂くんのことが、すき。